第62回岸田賞の選考とかの日々

  • 熊本から飛行機で東京に。機内で西尾佳織氏「ヨブ呼んでるよ」。再々読。バツにすることに決める。金田が希帆に説教するところや、美和子が希帆に説教するところ、そして希帆がそれぞれに対して何も返さないところは、おもしろい。こういうものを書きたいんだというエネルギーがこもっているのを感じるし読んでいてそれにのれた。そしてその希帆がバートルビー的であるというのは、わかる。けれども、だからといってバートルビーのあのせりふを引用することに対する、腑に落ちるなにかを見つけることができたわけではなかった。書かれるべきことが書かれていない、という印象を再々読でもなお払拭できなかった。何が書かれていないかを問題とするために書かれているべきことが書かれていない、ということかもしれないけれども。
    神保町のホテルにチェックイン。小一時間いる。選考会場の学士会館へ。選考会。僕は最初の投票で神里氏・松村氏・山本氏をマルに、福原氏をサンカクに、糸井氏・サリngROCK氏・西尾氏・山田氏をバツにする。選考の結果、神里雄大氏「バルパライソの長い坂をくだる話」と福原充則氏「あたらしいエクスプロージョン」を授賞作とした。神里氏の作品への、父島のくだりは短すぎて物足りない、という僕のコメントに対して、行き帰りの船の中の時間を含めればそんなことはないのでは、という指摘が他の選考委員からあり、確かにそうかも、と思った。福原氏の作品への、観客との予定調和が前提になっているのが気になる、という僕の見解に対して、でもそれは他の候補作たとえば山本氏の作品だって、福原氏のとは違う種類のそういうものが前提になっているのでは、という指摘があり、そ、そうかな(でも、そ、そうかも)と思った。打ち上げ。