岡田利規は、言葉と身体と舞台の不協和の協和を探究し続けている。言葉と身体と舞台は、互いに対立し合うとともに、そのことによって、まさに互いに響き合う。それこそ、世界そのものが明らかにしてくれる真実ではないのか。「三月の5日間」は、剥き出しの暴力が吹き荒れる現実世界に対して、演劇的な想像力を極限まで駆使して構築されたもう一つの世界、「愛」の新世界を対峙させる。対立を協働に、暴力を愛へ。そこにこそ、表現の可能性が秘められているはずだ。