内野儀(演劇批評)
わたしの個人的チェルフィッチュは2004年2月に始まった。『三月の5日間』をスフィアメックスで見て、直後に、「図書新聞」に劇評を書いた。〈衝撃〉を受けたという紋切り型ではなく、不可思議な強い〈情動〉に襲われたのだった。それからずっと、その〈情動〉を言語化しようと思って、進化/深化しつづける岡田利規について、なんだかんだと書き続けてきた。だが、なんか、はずれてしまう、のだ。それが演劇というものだ、とか言われたくない。幸いなことに、『三月の5日間』がリクリエーションされる。あの〈情動〉が今どういうことになって立ち現れてくるのか、こわごわと、どきどきと、その時を、手ぐすね引いて、わたしは待っている。