濱口竜介(映画監督)
2006年、六本木スーパーデラックスに『三月の5日間』を見に行った時の興奮は今も鮮やかに思い出せます。当時のルームメイトと観劇帰りの夜道や電車で、何度も「すげー面白かったな」を繰り返した記憶があります。言葉や動きや発声が自分たちの生活そのものでありつつ、キュビズムみたいに各要素が現実とはまったく違う形で再構成されていて、初めて「今の自分たちがそこにいる演劇」を見たという実感を持ちました。実のところ、生涯ナンバー1の演劇体験だったりします。それから10年以上経った今、岡田さん自身によるリクリエーションがどのようなものになるのか。90%の期待と、9%の不安と、1%の心配とともに、待っています。