福永信(小説家)
記念すべきチェルフィッチュ13周年を飾る『私たちは無傷な別人である』は、我が生涯最高の観劇体験のベスト2だが、ではベスト1は何かと言うとこれまた同じ年の『私たちは無傷な別人であるのか?』である。「内容」はほとんど同じ作品であるが、岡田は私に「密度」が違うと言った。だから違う作品である、と言ったのである。私は「大した男だ!」と、岡田のことをそれまでは普通に才能あるなくらいだったが、その瞬間から大尊敬して今に至る。そんな岡田が、初期の話題作を「リクリエーション」するという。岡田が2度、「ほとんど同じ作品」を作る時、何かが起こるに違いないのである。そして私のベスト1が更新する。のか?