How We Make It

一場の板橋さんがしれーっとしながら異様な事態を起こすというのをかなりシュアにできるようになってきていい糠床みたいな感じになってきた。〈朝マック〉の〈想像〉を効かせると良い箇所はどこかというのも見えてきた。この作品を上演するにあたっては実際にこの空間に存在する人間のことを存在しないことにする技とか感覚は他の俳優に対しても観客に対しても一瞬たりとも使われなくてよいという話をする。あとリハの途中でふと思いだして数年前に見たピーターブルックの「バトルフィールド」の話も今日はした。あの芝居に出ていた役者たちの〈想像〉を持つ技術や観客にそれを見せる力はまじパなかったけれどもあの上演はすごく平板だったそれはおそらく彼らの想像の持ちようがそしてもしかしたら彼らの人としてのありようもそうなのかもしれないが澄み切っていすぎる精製されすぎてる塩みたく雑味もえぐ味もない感じだったからじゃないかと僕は思ってるという話。がちゃがちゃしていたい。このプロダクションの役者たちは心がきれいじゃないし悟ってもなくて高邁なステージとかにもいないからその心配にはまったくあたらない。渋谷さんはこれは賞賛の意味だが素人っぽさがすごいそれで思いだしたけど昔DOMMUNEの番組のなかで「地面と床」の安藤さんとのシーンをリハーサルしたことがあったがそのリハーサルの様子を宇川直宏さんからやばいね素人もののAVみたいだねと賞賛されたことがあった僕はそれを自慢に思っている。渋谷さんのごく短い数フレーズだけがまだ成立しきれていないけれどもそれを除けば一場は最後までつくることができた。石倉くんも地味に掴んできている。リハーサル開始時にくらべて脳の体力が付いて来た気がするヘロヘロだと感じはじめるタイミングが遅れてきたしヘロヘロになる度合いも大したことなくなってきたからそろそろ稽古時間のばそうかなとちょっと思ってる。(10月24日KAATアトリエ)

左:板橋優里 右:渡邊まな実
渋谷采郁