わたしたちは無傷な別人である

カンパニー
カロリナ・メンドゥサ
公演日時
2017/8/11-26
2018/3/6
会場
Teatro Kaos (クバタン/ブラジル) 、 Tescom(サントス/ブラジル)/ Oficina Cultural Oswald de Andrade (サンパウロ/ブラジル) 、Casa do Povo(サンパウロ/ブラジル)

コメント
『わたしたちは無傷な別人である』は、小さな出来事と素材、視覚的なリズム、時に執拗にたたみかけ、時に破壊的な言葉のネットワーク。ある一つの方向を指して始まるフレーズは、予想外の場所にたどりつく。この繊細で、軽やかなネットワークは、絶えず私達の足下を流れている地下水のようなスペクトラムを思い起こさせる。
対話を許さない、確実なものによって四方を囲まれた現代にありながら、『わたしたちは無傷な別人である』では、不確実なものを生み出す余地が残されています。その座標は不変ではなく、いくつかの移動させるべき水平軸と、可変のポールが複数ある磁場。テキストが持つギャップ、言葉が持ちうる可能性は理解を超え、謎めいたタスクのようにすら見えるのです。その言葉が持ちうる可能性をどうやって身体へと落としこむのか?その資質を、どうやって素材として利用するのか?疑念と想像に基づく憶測を抱えながら、感覚を駆使して取り組みました。動揺しながらも、注意を払いました。耳も肌もオープンにして、言葉が私達の中に浸透していくようにしました。テキストは、私達を見知らぬ場所に連れて行き、時々、可能性の前に私達を置いていくこともありました。この空間を保ちながら舞台に乗せるにはどうすればいいのか?これを見せることの不可能さは、テキストに出会う前から既にありました。一時的に、時間は止まっている、もっとよく言えば、未来は止まっている。私達は何が現在かも知らない。それでも、未来は現在の結果なのか?ここに留まっていていいのか?透明な水をかきまぜて、濁った、その濁りが落ち着くまで時間を与える。そうすることで、その瞬間に見えるもの以上が見えてくるはずだから。この作品では、空間と時間が一時的に止まっているから。

クレジット
翻訳:Rita Kohl
演出: Carolina Mendonça
出演: Fernanda Raquel, Lúcia Bronstein, Rodrigo Andreolli, Rodrigo Bolzan
照明:Alessandra Domingues
音響:Miguel Caldas
舞台美術:Theo Craveiro
衣装:Ozenir Ancelmo
製作:Fernanda Raquel
撮影:Mayra Azzi

©Mayra Azzi
©Mayra Azzi

プロフィール

  • カロリナ・メンドゥサ

    カロリナ・メンドゥサはダンス、演劇、視覚芸術を用いて作品を創作している。サンパウロ大学コミュニケーション・アンド・アート学部にてパフォーミング・アーツの学位を取得し、ドイツギーセン大学にてコレオグラフィーとパフォーマンスの修士号を取得している。近年は劇作家・パフォーマーとしてMarcelo Evelin, Volmir CordeiroやMacaquinhosなどと創作をしている。近年の作品には”Falling” (2016)、”Public” (2015)、”Tragedy: a tragedy” (2014)、 “A Radically Condensed History of Post-Industrial Life” (2013)、”Valparaiso” (2011) や”Muro em Diagonal” (2009)などがある。
    カロリナ・メンドゥサは形式に囚われることのない演出家であり、常に集団製作やコラボレーションという形で創作活動を行ってきた。『私たちは無傷な別人である』の創作もFernanda Raquelによる日本演劇について研究を深めるところから始まり、新旧のパートナーであるAlessandra Domingues、Miguel Caldas、Lúcia Bronstein、Ozenir Ancelmo、Rita Kohl、Rodrigo Andreolli、Rodrigo BolzanやTheo Craveiroたちとの出会いと再会が大きな影響を与えている。『私たちは無傷な別人である』はこれらのアーティストたちの共同創作作品であり、彼らがコラボレーションに心血を注いだ成果でもある。

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