How We Make It

  • 書く時間がなく詳しく書けない三場と四場やる。(10月17日KAATアトリエ)

    演出助手:犬養真奈による想像メモ
    同上
  • いつもは13時スタートだが僕の都合で今日は15時スタート。KAATアトリエでのリハーサル初日。床にビニテで舞台美術のバミリをつけてもらっている。最初に白井晃さんも参加してくださり顔合わせ。今日は一場と二場。渋谷さんの登場のタイミングを冒頭からに決める。彼女がいるのといないのとで板橋さんのパフォーマンスによって生み出されるものが大きく変わるそういうことが起きるのはもちろん知ってるけどでもやっぱりそういうのはとてもおもしろい。観客との関係のとり方について先週僕も見たしメンバーの中の何人かも見たままごとの公演のそれを参照にしたりしながら話す。あとは自分の身体の背後の空間を取り込むことやどうやって舞台の上の空間を2003年にというか現在とは違う時間にパフォーマンスによってしていくのかについてのごく技術的な話。〈想像〉のボックスのサイズを大きくしていくことをやった。繰り返して板橋さんも僕も脳みそ的に明らかに限界が来たので休憩して休憩後は二場。一場もそうだけど立ちながらでないと問題にできない〈想像〉すなわち新しいたぐいの〈想像〉たとえば舞台にいる別の役者をどのように定義するかということなんかを問題にできるようになりはじめた。要は〈想像〉ってのは空間とか俳優とかその他いろいろの上演に用いられるマテリアルを定義するための手段であり方法であるそのことはもう稽古場のなかでは共有されてる。(10月16日KAATアトリエ)

    渋谷采郁
  • 舞台美術によって床面に生じる大きな矩形を九場は渋谷赤坂の地図として用いよう八場とか十場は象徴的に交差点として認識しようみたいにそれをどうやって用いるかの具体的アイデアがリハーサルしながらどんどん出てくるようになったしいい美術だなと思う。八場中間さんは〈想像〉のトラックの基本構成ができたこのあとはこれがひたすらダイナミックになっていけばすなわちお金の力が身体を押し流すその力が強くなっていけばよい。九場板橋さんとは渋谷を俯瞰する地図の〈想像〉というかゴジラみたいに巨大になって渋谷を移動している〈想像〉とごく普通の等身大の自分から見える情景の〈想像〉とが同時に走ってる状態をつくって身体をバグらせるというのをやりたいと思った。渡邊さんとの十場のリハーサルでは特に前半部分において繰り返されるにつれ〈想像〉との戯れの爆発が生じづらくなってきたのでインプロのこと〈想像〉が無意識っぽく反映することなど話す因みに渡邊さんメタリカ好きらしい。(10月13日急な坂スタジオでのリハーサル最終日来週からKAATアトリエ)

  • 立ち稽古すると身体を持てあますというのをネガティブにとらえるのでなくそのことを表現の要素にするとか身体を問題にできる当たり前だが。三場朝倉さんは〈想像〉を空間と関連づける仕方をたぶんあと少しで掴めるまだ今は掴めてない。〈想像〉のトラックとは何かがわかったように思うと言ってたそれはほんとにわかったということに違いない。五場石倉くんリオンくんとまずはせりふなしで長いこと〈想像〉とともに歩くというのをやる。石倉くんはディズニーランド行きたいというリオンくんはツタヤで延滞しててどうしようという〈想像〉。〈想像〉に雑菌がたくさんくっついている状態のおもしろさそうでないときのおもしろくなさを確認しながらそこにせりふのやりとりをリズムやベースラインにメロディラインをぽんと乗っけるみたいな感じで乗っける。演劇はマテリアルと〈想像〉の juxtaposition リアルとフィクションの juxtaposition という要はそういう内容の話をそういう言葉遣いでではなくもっと分かり易くそれを言い表している飴屋さんの演劇は半分半分という言葉を使わせてもらって話す。六場渋谷さん責任感ゆえに流れを自分で強引につくり出すというか流れがあることにしてしまうようなパフォーマンスをするとおもしろくないというかよくわかんないものになっちゃうよねというのを身をもって実感。受動的であることが説得力を生むそしたら予想外の高速でしっとりしたラブホテルの部屋の〈想像〉が渋谷さんの中にビュンってやってきてあまりのことにパニクったらしいすばらしい。(10月12日急な坂スタジオ)

    左:渋谷采郁 右:朝倉千恵子
  • 観客と関係するしかた〈想像〉と関係するしかた〈想像〉に影響を受けるしかたそれらに焦点置く局面に完全突入。お話し会のときの〈想像〉の持ち方の自由闊達さとテキストを用いた演技のときのそれのこわばった感じのギャップを痛感してもらう。二場石倉くんは〈想像〉を生み出すための動きではだめで〈想像〉からの影響を受けてるものとしての動きを生み出すんだというのを掴んだ気がするそう思える瞬間があった。リオンくんテキストとの付き合い方が丁寧で handle with care って感じでその結果おのずと彼らしさが出てきているよいことだ。朝倉さんからは今はまだ出てきてないもっと根本的に別のなにか圧倒的に新しいものがきっと出てくるはずなのでそれを待ちたい。渡邊さん今は〈想像〉のトラックをつくるというよりはまだテキストのトラックに軸足残したまま〈想像〉づくりをやってみる的な感じ。演劇というのは観客を変えることでパフォーマンスというのは観客が変わる経験を生み出すことでそうした目的のための手段として〈想像〉をつくるのであって〈想像〉をつくるのは目的じゃない。(10月11日急な坂スタジオ)

    米川幸リオン
    左:渋谷采郁 中央:中間アヤカ 右:朝倉千恵子
  • 今日から立ってみる立ってみてはっきりイシューにできることはたとえば〈想像〉を持つとは舞台空間をあるしかたで定義することだというのを実践することとか観客と関係をとることとか。舞台上に複数の役者がいるときそれぞれの想像でひとつの定義を強化していくのもできるけどそれぞれの〈想像〉がせめぎあう状況とかもつくれる。形(表現)の出力を焦らなくてよくて〈想像〉の土壌づくりがとにかく大事だというのを何より僕が出力結果を性急に求めたりしないため肝に銘じないといけない。(10月10日急な坂スタジオ)

  • たとえば板橋さんとリハーサルして彼女はやっぱり観客と対峙するときの当たりの強さみたいのが魅力でそこをイシューにしてリハーサルしたいしもうその時期だと思ったりしてそのことだけではないがテーブルリハーサルは完全に飽和してきたいい意味で。それぞれの役者の持つテクスチャーを最大限にアンプリファイしたい。(10月9日急な坂スタジオ)

    板橋優里
  • 六場渋谷さんおもしろい。水面から出てはまた入ってを繰り返すトビウオみたいにナラティブにするっと入ってするっと出てを繰り返す感じ。七場は複雑なので本読みだけではさすがに全貌が見えて来ないが部分部分の〈想像〉のトラックをつくるのはもちろん有意義。全体を見えてくるようにするために次週から立って動いてみてもらおうかなという気持ちに。石倉くんの七場の誰だっけ状態の女に触ろうとしなかった俺は素晴らしいと自画自賛するくだりは爆発が起こった。それにしてもこうやって丁寧にテキスト読んで〈想像〉のトラックづくりにいそしむのおもしろい。中間さんリオンくんの七場でお金の話をするシーンの二人はどういう距離どういう体勢でいたのかというのを話し合いふたりはベッドの中で至近距離でたがいの顔を見ながらそういう話をしたのだろうということになるがそういう状態が成立するには大きな条件がひとつあってそれはふたりがセックスにもう疲れてる飽きてるということでそうでないとそんな至近距離がおとなしく保たれることはない。四場渡邊さんのいったんホテルを出て日中の渋谷の街に行くところ。ショーウィンドウに映る自分たちの姿とか久しぶりに娑婆に出て外を歩くときに舗装道路の硬さの感覚が気になることとかかなりとてもイケてる〈想像〉を作ってくれた。いい〈想像〉とそうでない〈想像〉とを判断する基準をみんな少しずつ掴みつつあるとおもう。そのアイデア自体のおもしろさで判断するのでなくそれが身体に引き起こす作用のおもしろさで判断するということ。二場アズマくんとミッフィーちゃんは石倉くんと朝倉さんは勢いで押してしまってもおもしろくなるシーンだけれどもここでも思いもしない動きを生み出すため〈想像〉ファンダメリズム適用。来週から立つのは確定そしてこの〈想像〉じゃ動けないな的な問題が生じたときはまたテーブルリハーサルに戻ればよい。(10月6日急な坂スタジオ)

  • 僕の世代にとってSMAPとはなにかついでに渋谷系とはなにかというのをつい語ってしまった。。僕らおじさんおばさん世代がなぜこんなにも小沢健二を特別視するのかたぶん分かんないでしょと訊くと案の定分かりませんときっぱり言われる。八場中間さんがこの場を〈お金〉の〈想像〉でこの場を演じると言ったのがすごくおもしろい。〈お金〉を〈想像〉するとは何を〈想像〉することなのか? そして答えは見つかったのだがそれはお金とは人間の行動をディレクションする巨大な力であるということ。今この現場でやってるのは〈想像〉のトラックをつくる作業。地味だが過激な作業。でも上演時にはこれがはっきりと伝わる。そのアンプリファイがこの先行われるがそれはもう少し先の話。朝倉さんと三場の流れを成立させる〈想像〉のトラックの基本構成つくる。四場渡邊さんにはテキストのトラックにひきずられるきらいがまだあるが彼女のテキスト咀嚼への貪欲さが効いてくればなんら問題ない。ホテルをいったん出てマツキヨにコンドーム買いに行くくだりセクシーですばらしかった。(10月5日急な坂スタジオ)

    渡邊まな実
  • なにを想像するかどのように想像することが観客にとってより直接的な経験となるようなパフォーマンスにそれをするのかというのをひたすら考え実践。一場板橋さんとライブに感動するとはどういうことかに突っ込んでリハーサル。板橋さん渋谷さんのダイアローグ部分もダイアローグだからって相手の話を聞くとか関係性だとかに依拠して演技を作るのでなく各々の〈想像〉を作り上げていく作業。二場リオンくん頭の中ではミッフィーちゃんが第9地区のメカの上に乗ってるらしいなんじゃそりゃ。〈想像〉は意外と長時間持ち続けられるし続けるべきで新しい〈想像〉を次々つくって取っ替え引っ替えするのがパフォーマンスを強くするわけでは決してないといういつもする話だが今回の現場では今日する。ミッフィーちゃんをやる朝倉さんはアズマくんとりんご狩りに行きたいと思ってることになってるらしい。石倉くんはミッフィーちゃんとのパートはいたずらに攻撃的であろうとしすぎてるかも。各自シンギュラーなしかたで〈想像〉をつくってほしい。四場渡邊さんと複数の時間の話をする。最後にはその時間を体現した本読みをしてくれたと思う。(10月4日急な坂スタジオ)

    朝倉千恵子
    石倉来輝